ふいちゃんの中国日記つれづれ編/フットパス編
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山梨県甲府市湯村温泉街の近くに「竹中英太郎記念館」がある。竹中英太郎という人は画家で、1928年に発表された江戸川乱歩の「陰獣」やその後の「明智小五郎」の挿絵などを手掛けている。 1036年(昭和11年)の二・二六事変を境に絵筆を折り満州へ渡ったというが、のち日本へ送還され、1942年妻の郷里甲府へ疎開した。詳しくは 「竹中英太郎(ウィキペディア)」 「竹中英太郎記念館ホームページhttp://takenaka-kinenkan.jp/」 「湯村温泉郷と竹中英太郎記念館http://e-yumura.saloon.jp/meigetsu.htm」 「竹中英太郎記念館ガイドブック つなぐNPOまちミュー友の会」 を参照されたし。 1964年に湯村に家を建て、暑中見舞いで転居の知らせをする中で、当時は富士山、駒ヶ岳、甲斐の山々が一望できる景観のすばらしさを記述しているという。記念館へ続く石畳に「清風名月不用一銭買」の石文字が来客を迎えてくれる。 この石文字は英太郎が1970年に自らの手で作ったそうである。今はこの辺りは家がびっしりと建ち並んでいるが、以前は周囲に人家は少なく、別荘地だったそうである。湯村山の縁にあたるこの一帯は現在も別荘の雰囲気を感じさせる家々がたくさん見られる。 清風 qing1feng1 チン フォン 清風(せいふう)。さわやかな風。 名月 ming2yue4 ミン ユエ 名月(めいげつ)。くもりのない月。 不用 bu4yong4 ブウ ヨン 不用(ふよう)。 一銭 yi1qian2 イー チエン 一銭(いっせん)。 買 mai3 マーイ 買う。 この詞は唐の詩人李白の襄陽歌(じょうようか)にある句だそうで、原文は“名月”でなく“朗月(lang3yue4 ラーン ユエ 名月)”だそうである。 この詞には様々な日本語訳が載っている。“不用一銭”は“一銭も要らない”で共通しているように見える。“買”は“銭”の修飾語だからどういう銭かというと、「(清風、名月を)“買う”銭」である。直訳すると「さわやかな風と名月は買う金が要らない。」となる。さわやかな風や名月に何も感じない人々にとっては無用の句かもしれない。 | |||||