ふいちゃんの中国日記

生活編/出来事

暈船

2009年6月28日

6月下旬の土曜日、朝2時半起床のため、前夜は8時に寝る予定が9時になった。それでも5時間半の睡眠時間がある。

目覚まし時計で2時半に起きてヒゲを剃り、軽い食事をして家を出たのが3時40分。集合時間は4時で金元ホテル前である。5分前に着いてみるとまだ誰も来ていないようだった。するとホテルの中から一人の30歳過ぎと思われる女性が出てきてわたしに尋ねる。

「釣にいくのですか。」
「ええ、そうです。」
「○○さんの釣ですか。」
「えっ、ああ、そうですよ。」
○○さんはこの釣クラブの会長さんの名前である。
「まだ、マイクロバスも来ていませんね。」
「たぶん、マイクロバスと思うのですが、何で行くかはじつはわたしは聞いていないのです。」

などと話しているうちにマイクロバスがやって来、その他の人たちもやって来てちょうど4時に市内へ向かった。

今回のツリ行は大物狙いで市内の港から船で2時間で、50cm〜70cmのタラが釣れるという触れ込みである。大いに期待して行ったのであったが、この段階ではこんなひどい結果になろうとは誰も思ってもいなかったであろう。

今回の船は中央部に部屋があってそこで食事などができるようになっている。魚探知機も備えており、GPSという文明の利器で自分の位置を知ることができ、当然行き先もまちがいなく行けるハイテク船である。大連にもこんなしっかりした船があるのだなどと皆しきりに誉めていたのであったが、船が外海に出て5分も経たないうちに金元ホテルで真っ先に着いて皆を待っていた女性が船酔いで後部から部屋に戻ってきて横になってしまった。

船が離岸してまだ内海の段階で揺れがひどい。こんな揺れは初めての経験である。10分ほどで外海に出ると益々揺れはひどくなり、くだんの女性はプラスチック袋にゲーゲーと戻している。

生まれてこのかた船酔いになったことがないわたしであったが、あまりの揺れのひどさについに船酔いになってしまった。盛んに戻そうとするが胃の中にはほとんどなかったのであろう、何も出てこない。カラ戻しでも気分は楽になる。

ついにわたしも横になるしかなかった。釣どころではない。2時間の予定が3時間かかり、帰りが2時間で都合5時間の苦行となった。けっきょく、15人中14人が船酔いになり釣糸を垂らしたのはわずか3人のみ。しかも一人だけが一匹の中物を釣り上げたという話である。

生まれて初めて船酔いになり、船酔いがどういうものなのか体験することができた。船酔いは高山病とよく似た症状である。結果として、今回のツリ行は朝2時半に起きて5時間の船酔いの苦行となり、寿命が3年縮まった思いである。

【註】暈船 yun4 chuan2 ユン チュアン 船に酔う。船酔いをする。
同様に「車酔い」は暈車(yun4 che1 ユン チョー)である。