ふいちゃんの中国日記

生活編/出来事

銀行での出来事(1)

2010年10月22日

銀行のキャッシュカードをなくしてしまったようだ。というのは財布の中に入れていたと思っていたのに行方がわからなくなってしまったのだった。家の中を4日間くまなく探したが見つからない。国慶節休暇が終わった10月8日、銀行へ行ってカードの使用履歴を確認してもらったところ、まったく使われていなかったことが確認できたのでひとまず安心。

再発行してもらうために手続きを始めた。何にしろ、全ては身分証明書の提示から始まる。外国人の場合はパスポートが唯一の身分証明書である。すると、担当者が「このパスポートは変更したか」と何度も聞く。不思議に思ったが、変更など何もしていないので「変更していない」と答えるのみ。

どういうことかというと、わたしのパスポートの番号と銀行がコンピューターに登録してある番号とが違っているということであった。どう違っているのかと言うと算用数字7桁が6桁しかない。さらに詳しく言えば最初の一桁目の数字がなくて残りの6桁は間違っていないというのだ。

要するに銀行側が入力時にまちがえてしまったというわけである。銀行側もそういうことを認めるわけにもいかないのであろう。とにかくこれでは使えないので変更手続きしてくれと用紙を渡され、わたしも今後の不便さを考え変更手続きに応じた。

それやこれやで担当者は同僚と相談したり、上司を呼んで相談したりとわたしが窓口の椅子に座ってからすでに30分が経過していた。するとわたしの後ろに並んでいた中年の女性が大きな声で「私は預金したいのだ。もう30分も待っている。いい加減にしてくれ。」と怒鳴りだした。

すると、職場のリーダーと思われる女性が中年女の剣幕に負けたのか、担当者がわたしの変更処理をしながら同一窓口で中年女の預金処理を始めた。普通はこんなことはしないものである。すると、中年女は持っていた紙製の袋から無造作に1万元束を30束ぽんぽんと取り出して窓口へ放り投げて渡したのだった。30万元は大金である。日本円にレート換算すると約390万円。しかし、物価水準を考慮すると日本で言えば2000万円の価値に相当する。

なるほど、「預金するのだ」と怒鳴った意味がわかった。「大金を預金するのだ。いつまでも待たせるな。」というわけなのであろう。隔離された部屋の中にいた数人の銀行員が応援に来て札束をばらして数え始めた。まず、人が二回数え、ついで自動機でこれまた二回確認する。そして数え終わるとまた1万元束を作っていく。

15分ほどかけて数え終わってから銀行員が中年女に聞く。「カードは?」。しかし、中年女が差し出したカードはこの銀行のカードではなかったのだ。「この口座はうちの銀行にはありません。」と言われて中年女があわてだした。勤務先の会社であろうと思われるところへ携帯電話で問い合わせしている。わかったのはその銀行ではなく近くにある「農業銀行」へ預金することになっていたのだ。

中年女は小さな声で「まちがえた」と詫びている。何のことはない、銀行は30万元の札束(3000枚)を徒労に数えさせられたわけである。そしてこの一件が終わったとき、わたしの変更手続きはまだ終わっていなかったのだった。

しかし、不思議なことにわたしのパスポートはこの同じ銀行で両替、現金引き出しに過去3年以上にわたって何十回も使用されてきたのである。恐らく、コンピュータ登録と実際との番号が一致していないのに登録時の入力ミスだろうと担当者が判断して処理してきたのであろう。

さらに、わたしのキャッシュカードは変更手続きした日の午後、会社にある金庫の中から出てきたのである。これでは家の中をいくら探しても見つからなかったはずだ。そしてすぐに銀行へ電話して手続き状況を確認したら、今すぐに来てくれれば変更手続きの取り消しができるというのであわてて銀行へ出向いた。そしてそこでもまた30分を要したのだ。

変更するとカードが再発行されるまでに一週間かかる。急に両替しなくてはならない状況があったからである。