ふいちゃんの中国日記

つれづれ編

蓑虫いとあはれなり

2013年3月24日


45歳から70歳代の数人の集まりの中で、どういういきさつかわからないが蓑虫が話題になっていた。じつは蓑虫はいまもけっこう身近にいて、よく散歩に行く公園の木にもいるのである。あそこへ行けば蓑虫を見られますよと教えてさしあげたのであった。

田舎育ちのわたしにとって「蓑虫」は物心ついたころからとても身近な存在であった。いまのようにゲーム機などはなく、こどもは皆外で遊んでいた時代である。やがて、高校に入って清少納言の「枕草子」「蓑虫いとあはれなり」にで出会った。

このような古典に「蓑虫」が描かれているなど想像すらしたことがなかったので、そのときの驚きと親近感をいまも覚えている。

雪国ではやがてやってくる冬の雪が積もる高さ以上のところに蓑虫はぶらさがっているという話を聞く。そういうことを研究している人もいるそうで、蓑虫の高さで冬の積雪の多少を予測できるという新聞記事を読んだことがある。

枕草子第41段を以下に引用する。
『蓑虫いとあわれなり。鬼の生みたれば、親に似てこれもおそろしき心あらむとて、親のあやしき衣引き着せて、「いま秋風吹かむをりぞ来むとする。待てよ」といひおきて、逃げて往にけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月ばかりになりぬれば、「ちちよ、ちちよ」とはかなげに鳴く、いみじうあはれなり』(第41段)

むかしは蓑を着た者は異界からの使者という信仰があったそうだ。テレビでよく目にする秋田のナマハゲも蓑をつけているように蓑虫は鬼の子と見られていたそうである。

現代語訳文は容易に入手できるが、受ける印象がぜんぜん違う。余韻もなにもない。ぜひ原文で読むことをお勧めする。

わたしは蓑虫の鳴き声は聞いたことがない。実際に鳴くのか鳴かないのかわからない。