ふいちゃんの中国日記

仕事編

ハエたたき

2005年 9月 25日

 パチン、パチンとしょっちゅう音がきこえてくるようになった。
夏のあいだはほとんど見かけなかったハエがいまは日本人用事務所の中にいつも6〜7匹いる。5〜6倍ひろい中国人用事務所にはさらに多くいる。日本人と中国人とで育った環境、文化、社会体制、ものごとの考え方などの違いで「すれ違い」という現象がよくおきる。この「すれ違い」がおきるとこちらはすぐに気がつくが、相手はほとんど気がつかない。だからこそ「すれ違い」が起きている。また、このすれ違いを相手に理解させるのは容易ではないので面倒くさがってついそのままにしてしまう。
「なぜハエがいるのだ」
「秋になって外が寒くなったでしょう。だから事務所の中にいるのよ」と通訳がいう。
わたしはハエがいること自体に疑問をもって聞いている。通訳はハエがいるのは当たり前で、いること自体が大前提で答えている。
 この季節、大連はとても涼しく快適である。しかし、事務所は工場のなかにあって壁に囲まれており、風の流れがないので今のこの季節でも蒸し暑く、クーラーをかけないと身体じゅうが熱くなる感じである。昼休みにとなりの建物にある食堂へいくとき、ほんの2〜3分だが外のすがすがしい空気を吸って気持ちがいい。事務所の中がいかに暑いかがわかる。
 だが、ハエにとっては事務所の暑さはちょうどよいのだろう。外の空気が涼しく快適になるに従って事務所のなかのハエがどんどん増えてきた。2坪ほどのせまい事務所のなかでわがもの顔で飛び回っている。トイレなどはぶんぶん舞っているのから壁に留まっているのまで含めるとざあっと30匹くらいはいる感じ。
 そのうちに日本で昔よく見かけたハエたたきが事務所で使われるようになった。形、大きさともに全く同じである。聞くところによれば去年もこのハエタたたきが大活躍したそうだ。なかにはひまな人もいるようで、ハエたたきでパチン、パチンとハエを退治するのが楽しみかのような人さえ見かける。
 ハエも賢いのだ。夏の暑い日は事務所はクーラーがきいているのでハエにとっては住みにくい環境なのだろう。秋は逆に外が寒くて事務所が快適な環境ということか。