ふいちゃんの中国日記

文化編/伝統・風習

貝と羊の中国人

2007年2月25日

これは本のタイトルである。

著者は加藤徹さんで、中国の演劇を専門とする大学の先生。新潮新書(新潮社)¥720。中国に関心のある方にお薦めしたい絶好の本である。読みたいと思っても値段が2000円の後半や3000円台になると、ついつい手が引っ込んでしまうのがわたしの常であるが、このくらいの値段だと気軽るに買うことができるのもこの本の魅力の一つである。しかも内容は豊富だ。

この本を読むと、政治が共産主義で経済が資本主義の一見奇妙な関係が、なぜ中国で両立し得るのかが「貝の文化」と「羊の文化」を機軸にして明快に説明されている。4000年とも5000年とも言われる中国の歴史のなかで脈々と受け継がれてきた中国人の根源をなすものがそう簡単には変わりようがないのだということもわかってくる。

さらに、中国人の潜在的な領土意識もわかってくる。わたしたち日本人は明治時代の領土を元来の領土と考えているが、中国人はもっとはるか前の領土を元来の領土と考えているようだ。だから、このストーリーでいくと、尖閣諸島がもし中国領ということになったら、その次は沖縄も中国領土だと主張しだしても中国人にとっては何らおかしくはないこともわかってくる。

いろいろな意味でこの本は中国理解に役立つ格好の本である。