ふいちゃんの中国日記社会編/公共
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まず、受付であるが、「挂号」がその受付の意味である。ここで、申し込み様式があって、名前、年齢、何科などを書くと1冊のカルテが支給される。昼間だと大体3元であるが夜間は6.5元に上がる。中国ではカレテは患者管理である。レントゲンのフィルムなどもずべて患者に渡される。 中国ではなぜか受付のときに身分証やパスポートなどを要求されることはない。だが、これは当然のことなのかもしれない。もし、診察のときに身分証が必要だとしたら、戸籍のない人は治療を受けられないことになる。完全先払い方式だから、金さえ貰えれば誰でもいいという意味でもあろう。 「上有政策、下有対策」という言葉があるくらいだから、戸籍のない人でももし身分証が必要としたらそれなりの対策はあるのかもしれないが。 次いで医者のいる部屋を探して行く。順番待ちで並ぶ習慣のない国であるから、例えば、内科へいくとたくさんの患者が部屋の中にいて順番などはまるでわからないことが多い。皆医者の周りに集まって、医者と患者の話しに真剣に耳を傾けている。プライバシーなどはおよそ縁がない。 いつか、わたしの前に若い娘さんがいた。話し声が自然に耳に入ってくる。娘さんが薬の関係なのであろうか、「いま妊娠している」と言っている。女の医者が結婚しているのかと聞くが娘さんはなにも答えない。同じ質問を2回、3回してようやく娘さんが小声で「していない」と答えている。すると医者は「あ、男朋友ね」と言いながらカルテになにやら記入している。 診察が終ると薬を買いにいく。診察費は大変安いが薬代はとても高く、3000〜5000日本円くらいはすぐに出ていく。「薬局划価処」へ行って、処方箋に書かれた薬がいくらかを計算してもらうのである。 それから、再び「門診挂号収款」へ行って計算された金額を支払うことになる。そして、領収書を「薬局取薬処」へ持っていくとようやく薬がもらえることになる。その薬を今度は医者の所へ持っていくと初めて薬を塗ったり、注射や点滴などの治療が始まるのである。だから怪我をして歩くのが困難な場合などは、一人では二進も三進もいかないことになる。 なぜこんなに複雑なのか。察するに金に絡む不正防止が主たる目的ではなかろうかと思うのだが、患者の立場で物事を考える発想などはないのであろう。あくまでも病院主体で都合のいい方法を考えた結果ではなかろうかと思う。 【註】 挂号 gua hao グアハオ 届け出る、申し込む 上有政策、下有対策 shangyou zhengce,xiayou duice シャン ヨウ ジョンツア、シア ヨウ ドイツアー 上に政策あれば下に対策あり 男朋友 nan pengyou ナン ポンヨウ (男の)恋人 薬局划価処 yaoju jijia chu ヤオジュウ フアジアチュー (病院の会計窓口で)患者の薬代や治療費の内訳を処方箋に記す所 門診挂号収款 menzhen guahao shoukuan メンジェン グアハオ ショウクアン (門診)外来患者の診察・(挂号)申し込み・(収款)支払い 薬局取薬処 yaoju quyao chu ヤオジュー チューヤオ チュー 薬を受取る所 | |||||