ふいちゃんの中国日記

文化編/伝統・風習

瓜子

2008年11月2日

瓜子(gua1 zi・ グア ズ)は“瓜類の種で、スイカやカボチャなどの種に塩を加えて炒ったものをさす”(小学館:日中辞典)。中国では人の集まるところ、必ずと言っていいほどこれがでる。実際には、スイカやカボチャの種以外にヒマワリの種が量的には多いように感じる。

これらの「瓜子」は時間をつぶすのに大変都合がいい。話をしながら、殻を割って実をだして食べる。もともと一個の重量はたいしたことがないから、たくさん食べたように見えてもたかが知れている。割った殻は上品には皿の中へ(これは非常に少ない)、あるいはテーブルの上へ乱雑に、もっとも多いのは地面へ「ぷっ」と吐き捨てる。

大連と日本との関係は何十年という長い期間、非常に深い関係がある。中国の日本語熱は中国一とも言われている。そういう背景のせいか、大連から日本へ企業研修に行く人は多い。

大連には専門の人材派遣会社があって、そこを経由して日本へ研修に行くのである。研修と言っても、実際はアルバイトである。もっとわかりやすく言うと「金を稼ぎ」に行くのである。通常は3年間、場合によっては1年間の場合もある。3年間でまず300万円以上を貯金して持ち帰るのが普通のようだ。

関西、中京方面へ大量の研修生が毎年派遣されている。具体的な統計資料はわからないが、1企業で毎年30人ほど受け入れているところもある。大連へ進出している日本企業がこのような研修生を受け入れて3年間研修し、その後大連へ戻って進出企業の中堅幹部として採用する例もある。

いろいろなパターンがあるが、多くの研修生がこの3年間で日本語を必死に勉強する。その成果がやがて帰国後、自らの収入に直結することを自覚しているから身の入れ方が違う。帰国後、さらに日本語に磨きをかけ、立派な日本語通訳として活躍している人はたくさんいる。

中には、新婚3ヶ月で日本へ研修に行った女性や、子供を産んで半年後に日本へ研修に行った女性もいる。

日本へ研修に行った人達の多くが何を食べたかったかというと、じつはこの「瓜子」なのだという。それとなく日本人に尋ねると、それは小鳥屋へ行けば売っていると聞いて、さっそく買いに行った。小鳥屋へ行ってヒマワリの種を1斤(500g)の単位で買おうとすると、小鳥屋の人が驚いて、「これは鳥が食べるものだけど、そんなにたくさんどうするのですか」と必ず聞かれるのだそうだ。

「瓜子」を食べる習慣がない日本人には、まさか人間が食べるとは思いもつかなかったのであろう。あそこへ行けば「ヒマワリの種」が買えるという情報はクチコミで瞬く間に研修生に広がり、皆がこぞって買って、自分たちで炒って食べたのだという。