ふいちゃんの中国日記

生活編/街の風景

歳末風景

2006年1月18日

 新暦の歳末は格別のこともなかったここ大連も旧暦の新年がまもなくやってくる時期になって活気づいてきた。今年は1月29日が旧暦の正月である。一昔前、中国ではバーゲンセールというとこの時期でいえば、完全に冬が終ってからそれもわずか2%前後の割引しかなかったのが、昨今は冬のさなかに実質のバーゲンセールが行われており、30%ほど値引きされている。物によっては50%引きの品物もある。今は冬だけでなく、各季節ごとにバーゲンセールが行われるようになっている。日本とかなり似た状況になってきた。しかし、日本では冬がはじまる前に冬物のバーゲンセールがある場合もあれば、割引率も50%は普通などと紹介すると、信じられないといった表情をする。流行の変化、資金の流動化など総合的に説明すると、「なるほど」という。
 日本でいえば、しめ飾りとかに相当するものであろう、各地で正月用の飾りものが種類も多く売られている。特徴はどれも紅色一色であること。特にこちらの方は紅色が好きなようだ。紅色の下地に黒く、来年もあるいは来年は我が家に幸福が訪れますように、我が家にお金がたくさん入ってきますように、といった意味合いの言葉が大きく書かれた紙が入り口のドア両側にデンと貼られる。この状態で1年間貼られている。さすがに外に貼られた場合は風雪で色褪せてくるが屋内の場合はかなり鮮明に1年間保たれている。
 やはり、中国の生活は今でも旧暦で動いている。この期間、多くの企業は1週間から10日間くらいの春節休暇になるところが多い。しかし、景気のいい会社は休暇を4〜5日にして生産を優先する。遠くへ出稼ぎに行っている人々はこぞってこの休暇に田舎へ帰っていく。そして家族親戚と1年ぶりの再会を果たし、一家団欒のあと再び仕事で故郷を後にするのである。
 ボーナスは一般にこの旧正月の直前にでる。ふところを豊かにして新年を迎える。しかし、ボーナスをもらって田舎へ戻り、そのまま元の工場へ復帰しない人も結構いると聞く。春節の前後は国中で人が大きく流動する。なかには汽車に乗り切れなくて順番待ちで駅前で数日過ごした挙句、結局帰るのをあきらめて途中で引きかえす人々もでてくる。飛行機で移動できる人というのは全体の中でもごくわずかな人たちで、圧倒的多数は汽車やバスでの乗り継ぎとなる。だから田舎へたどりつくまでに2〜3日はザラで、往復で4〜6日となる。春節休暇が1週間〜10日間にもなる一つの理由はここにある。そのために人々は振替え休日で1〜2ヶ月間休みなしで働くことを厭わない。苦労して帰りついても1〜2日で故郷を後にしなければならないのは勘弁してくれということなのであろう。なんやかや、春節はとにかく1年のなかで人口が一大移動する特別な時期でもある。