ふいちゃんの中国日記仕事編
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日本では誰知らぬ人はいないS電機である。上海現地法人の大連支店へエレベーターを注文した。例によって本体設備の代金は先払いである。これは我慢できる。先に物を収めたら代金を払わないなどはこの国ではよくあることだからである。ただし、据付費は後払いである。
だが、本体設備の代金を支払ったのはいいが、約束の期日が来ても設置工事にやって来ない。購買担当者が催促すると「来週」という返事である。だが、一週間が過ぎても工事に来ないばかりか、何の連絡もない。 そこでまた催促すると、再び「来週」という返事である。結局こうして一ヶ月が無駄に過ぎてしまった。最終的には工事に来たものの、通常3ヶ月で使えるようになるという話だったのが、5ヶ月かかってもまだ満足に使えない。 ドアがきちんと閉まらないのだ。4cmほどの隙間が開いている。ドアが完全に閉まらない状態が8秒たつとドアは自然に開くようになって設定されているらしい。ドアが閉まったり、開いたりしているのをわたし自身が直接目撃して担当者へ確認したら、施行後この問題がずうっとあって、修理を依頼してある。きょうの午後、修理に来る予定になっているというのだ。こんな重要な問題を報告にも来なかった担当者にも大きな問題点があることが把握できた。 午後、4人が修理にやってきた。担当者から「直ったから代金を支払ってください。」と催促があった。「直接、修理情況を確認しないと判断できないではないか。」と、管理課の責任者を帯同して確認に行った。たしかに全部閉まるようにはなっていたが、今度はドアが閉まるときにガタンというすごく大きな音がする。どこかに摩擦抵抗の強いところがあるのを強い力で無理やり閉めている証拠である。 そこで、もっと静かに閉まるよう調整を要求したが最終的にこの音は小さくならなかった。大連支店の据付責任者が「調整が終ったから、代金をすぐに払え。」という。「調子が悪ければすぐに修理に来るから。」とも言う。わたしは言った。「馬鹿言うな、これまでのあんた方の態度をみていたら、代金を全部支払ったら故障しても修理にすぐ来てくれるなど全く信用できるものか。第一、エレベーターのドアがこんな大きな音がして閉まるなどそれ自体が異常ではないか。品質不良の施行に代金など払えない。数週間様子をみて異常がなければ代金を払ってもよい。」 そうしたら、今度は「すぐ代金を支払わなければエレベーターを使えないように停める」と脅迫してきた。この態度にはすっかり頭にきてしまった。そこで「そんな脅迫をするのだったら日本の本社へ連絡するぞ。」と言ったら、「どうぞ。」というので、インターネットで調べて東京丸の内の本社へ電話してことの顛末を伝えた。 海外営業担当の「S氏」はよく調査をして然るべき対応をとるというので、「どうぞ、十二分に調査してください。結果を連絡してください。」と言ったら「わかりました。」という。 数日後、大連支店の責任者と名乗る中国人から携帯電話機に電話が入ってきた。「用があるなら工場へ来てください。そして通訳を介して話しをしようではないか。」と返事をしたらそれきりである。 その翌日、こんどは上海の現地法人会社の日本人メンテナンス責任者から電話がはいった。「大変申し訳ありませんでした。」と平謝りに謝ってくるのだが、こちらだって大金が絡む話である。ここまで来たら簡単に妥協するわけにはいかない。わたしに「エレベーターを停めると言った据付責任者を謝罪に向かわせたい。」という話しもあっさり断った。この問題は、エレベーターのドアがスムーズに安定して閉まればそれでいいのである。 その後、このエレベーターはやはり同様の不具合を繰り返している。上海現地法人会社の日本人メンテナンス責任者の説明では内外の温度差が大きいのが原因ということであった。一度調整しても数日経つとまた閉まらなくなる。担当者から大連支店へ連絡させるとすぐにやってきて調整らしきことをして帰っていくのだが、同じ不具合をまた繰り返す。 そして担当者の何度目かの連絡のときは「この問題は大連支店では調整しきれないので春節休暇後の2月3日になったら上海現地法人会社へ連絡して上海の技術者の派遣を要請する予定だ」という返事だったという。 わたしは上海現地法人のメンテナンス日本人責任者へE―mailで、内外の温度差以外に本体そのものに何か問題があるのではないかと問題提起している。こんな品質不具合の状況下ですぐに据付代金を支払え、支払わなければエレベーターを停めると脅迫してきた会社の態度は問題がある。 停められたら仕事に大影響がでるので、この大連支店の人間はわたしの許可がない限り入門禁止と守衛に命令した。もし許可しないのに強行入門するようであれば公安へ電話して不法侵入罪で逮捕してもらうようにとも命令してある。そして公安が来るまでの時間は工場の屈強な男達で実力阻止するようにとも手を打ってある。 | |||||