ふいちゃんの中国日記

生活編/衣食住

麦凱楽

2006年1月20日

 これは「マイカル」である。日本のマイカルは倒産してしまったが、大連のマイカルはしっかりと活きている。しかし、名前は昔のままだが、資本的には今は100%中国資本になっていると聞く。開発区に1店、大連市内に1店あり、開発区のマイカルは当地では最高級のデパートとして評価されている。物もいいが値段も高い。たしかに客層が真向かいにある安盛デパートとは違う印象で、わたしなどは着ているものからいうとさしずめ安盛デパートの客層に分類されるであろう。
 春節休暇に日本へ一時帰国するので土産物を買いに“麦凱楽”へ行ってきた。冬の半ばが過ぎたせいか、バーゲンセールと銘打ってはいないものの、店内はどこも大幅割引をしていた。3割引き〜5割引でおまけに「くじ引き」付きである。中国の一般的な支払い方法は品物を見定めたら、まずその店で伝票を2枚書いてもらう。それを会計所へ持っていって先に金を支払う。そこで受け取った伝票の残り1枚と領収書を店に出してようやく品物が手に入ることになる。
 売り子の娘さんがこの金額ではくじが3枚引けるから案内するという。1階で買って3階までエレベーターに乗り、くじ引き所まで連れて行ってくれた。ずいぶん親切である。こんな応対、中国ではこれまで見たことがない。しかもくじを引くときも傍にいていろいろくじ引き所の娘さんに説明している。2枚当たりくじで紙コップを20個ほどもらえた。「ネクタイ売り場はどこですか」とさらに案内してくれた娘さんに聞くと、それは2階だという。それでまた一緒にエレベーターに乗り2階へ。2階に停まると入り口付近にいた人々に「この客人が降りるから道をあけてください」と言うと人々はさっと道をあけてくれたのでわたしは「謝謝!」と言って外へ出、案内してくれた娘さんは「慢走!」と言ってエレベーターのドアが閉まった。
 普通の娘さんの1ヶ月分の給料くらいの買い物とは言え、こんなに親切にしてもらったのは初めて。デパートの方針なのか、個人的なはからいなのかわからないが、こういう経験をすると中国はたしかに変わったなという実感がもてる。
 じつはこの売り子の娘さんとは3割引のあと、さらにわたしは追加の1割の値引き交渉をして、最終的にはわたしの要求通りの価格で買えたのである。中国では値引き交渉はごく当たり前の行為である。開発区の最高級デパートだからとて値引きしてさしつかえない。値引き要求しなければ当然値段はさがらない。値引き交渉がまとまらなければ「不要了」と言って買わなければよいだけの話。値引き交渉を楽しむ気持ちの余裕があればそう難しいことではない。

【註】
  麦凱楽 maikaile マイカイラー マイカル(店の名前)
  謝謝 xiexie シエシエ ありがとう
  慢走 manzou マンゾオー お気をつけてお帰りください
  不要了 buyaole ブーヤオラ いりません