ふいちゃんの中国日記

観光編/麗江

女人の国

2009年3月8日

かつて成都に居たころ、中国には現在でも「女人の国」があるという話を聞いたことがある。成都から車で10時間の距離にあって、四川省と雲南省の境に近いところらしい。麗江へ行って、より詳細がわかってきた。麗江から「女人の国」までは車で約4時間という。

通常、中国では男系であるが、「女人の国」は女系である。「女人の国」では男女は結婚しないで、男が夜になると好きな女のところで夜を過ごす。翌朝は明るくなる前に自分の家へ戻る風習で、いわゆる「通い婚」である。男女は特定の固定した関係ではなく、双方がそれぞれ複数の相手を持っている。

これらの人々は「摩梭人 mo2 suo1 ren2 モオ スオー レン」と呼ばれ、じつは納西族なのだという。場所は「永寧地区 yong3 ning2 di4 qu1 ヨーン ニン ディ チュー」と呼ばれている。ある本などでは「女人の国」の人々を「摩梭族」として紹介しているものもあるが、これはあやまりのようだ。

生まれた子供に対して男は扶養の義務はなく、女家長を中心にした女系家族全体で養う。第一、こどもの父親が誰であるかわからない。したがって女人の国では「無父無夫 wu2 fu4 wu2 fu1 ウウ フー ウウ フー」、「知母不知父 zhi1 mu3 bu4 zhi1 fu4 ジー ムーウ ブージー フー」である。男は昼間は野良仕事にせいを出し、夜は働いているときに知り合った女のところへ行く。気持ちが通わなくなったら、あっさりと別々のカップルとなる。それが正常状態であって、別れる別れないなどのトラブルは一切ないという。但し、男女ともに40歳くらいの年齢になると自然に固定化されるという。

中国は一夫一婦制であるが、この慣習は民族特有の慣習として中国政府も認めているという。この男女の関係は摩梭人内部だけでなく、摩梭人の女と外部の男の関係でも同じで、要は気持ちが通じればそれで男女の関係になれるのだそうだ。そういうことで「女人の国」へ観光にやってくる男の3分の一はこれを期待してやってくるのだという。

外部の男がやってくるようになって当然と言おうか、一時、性病が蔓延したという。そのときは中国政府が医者団を派遣して治療に当たったのだそうだ。ある本によると、通い婚の目的で「女人の国」へやってきたある台湾人が摩梭人の気に入った女に「金はいくらでもある。今夜どうか。」と声を掛けたらその摩梭人の女は台湾人の顔を平手打ちして拒否したそうである。さらに、翌日も摩梭人の女は手が痛くて気分も悪かった説明されている。
 
つまり、摩梭人の女は金で男女の関係になっているのではない。中国では、成金で品の悪い男の代表として台湾人の男がよく登場する。