ふいちゃんの中国日記

仕事編

惜力

2009年6月8日

惜力(xi1 li4 シーリー)は“骨惜しみをする、力を出し惜しむ”という意味であるが、中国人はすぐにこれを発揮するのでなにかと面倒である。

例えば、「私はあの人より仕事ができる。なのに私はあの人より給料が少ない。だから、私は自分の能力を100%出さないで、あの人並に仕事をしていこう。」というわけで、ちょっとした資料も簡単には仕上げない。普通に考えれば1時間くらいで仕上がるものも3日とか1週間も費やす。

結局、そういうことが続くとその人の仕事の能力は非常に悪く評価されることになる。ところが当の本人は全然そうをは思っていないのだからギャップが大きい。「うむ、この資料は緊急を要するので別の人に頼むことにするよ。」などと言おうものなら途端に気分を悪くしてしまって「私はそんなにバカではありませんよ。」と言ってもその人を評価するのは周りの人なのだから、いくら本人が「こんなのはすぐに処理できる」と思っていても普段そういう能力を発揮していないのだから評価のしようがないのである。

生産現場では新人が入ってくると習熟がいくまでは従来の人から比較すれば処理数は少ないのが普通である。すると、ベテランは1日の処理数を新人並に落としてくるのである。「私は数がこんなに多い。しかし、新人と給料はあまり変らない。だったら、私も新人と同じ数だけにしておこう。」ということで目立たないように処理数を落としてくるのである。

しかし、日報を見れば数量実績はごまかしができないから、すぐにばれてしまうのだ。考え方が極めて合理的と言えば合理的ではあるが、中国人の一つの特徴であろう。これを防ぐ一つの方法は「出来高払いや品質」の評価を取り入れることである。