ふいちゃんの中国日記

社会編/公共

完全不看護制

2006年2月17日

 日本では病院に入院の場合、病院側の完全看護制といって家族や親戚による夜間の付き添いを拒否される。何度かと申し込んでも聞き入れられなかった実例もいろいろ聞き及んでいる。ところが中国はまったく逆で、病院側は治療以外は何もしてくれない。だから、誰かが付き添わないと患者は手も足も出せない状況に追い込まれる。
 入院といってもいろいろある。検査入院などは付き添いがいなくてもとくに困ることはないであろう。しかし、手術した場合は状況によって、身動きとれないこともあるわけで、そのようなときに付き添いがいないと大変なことになる。
 1月24日、急に痔の手術入院となり中国の病院事情を熟知していなかったのであったが、会社側で万事手配してくれたお陰で無事退院することができた。24日から2月3日の午前に退院するまでずうっと社員を交代で付き添いにつけてくれたのである。
 痔は直腸の腫瘍である。悪性もあれば良性もある。手術後の検査結果によりわたしの場合は良性であることが判明した。最初の病院選択を誤ったため、症状が急激に悪化したので、腫れが相当ひどかったようだ。できものが腫れて尿道を圧迫して閉鎖状態になったのであろう。手術後、尿がでないのである。
 麻酔が切れだしたのは手術が終って45分後。足の感覚がもどってきたのと同時に傷口が痛み始めた。わたしは元来痛みには強い体質のようで、これまでは歯を抜いた後なども痛み止めの薬を飲んだことがない。今回も耐えられない痛みではなかったが、17時半ころになってどうにも痛みに耐えられなくなって痛み止めの薬を持ってきてもらい飲んだ。
 ところが傷の痛みはまったくなくなったものの、お腹全体に我慢できない痛みがあり、ようやくこの傷みは傷口の痛みではないことに気づく。医師に来てもらいお腹が腫れていたいと説明したら、医師がお腹の膀胱の上辺りを押してどうだと聞く。結局わかったのは小水が出なくて膀胱が満杯になっていたのである。カテーテルを挿入するということで医師が事前にわたしに同意を求めてきたので同意する。どうやら費用が発生するので事前に同意を取り付けたようなのだ。
 カテーテルを挿入してコックの使い方の説明までは看護婦の仕事。実際にコックをひねって小水をだすのは付き添いの役割なのである。付き添いの従業員がコックをひねったら、なんと1L以上もの小水が出てきて、同時にお腹の痛みはすっかりなくなり、すっきりとした気分になった。その後21時までは痛みもなにもなく経過し、手術後の最もつらかった時間はこのようにして終った。ついに寝返りを打ってもいいようになったのである。
 排便のあとの温塩水による30分の座浴の準備などこれらもすべて付き添いの仕事。お湯を汲んできたり、適温に調整したり、あるいは後片付けなど、手術後で力が入らないから自分ではできずもちろん看護婦もやってはくれない。こうして付き添いのひとにはほんとうに世話になったのである。