ふいちゃんの中国日記

生活編/健康

放屁

2006年2月18日

 手術の夜、看護婦さんが来たので聞いた。
「肛門に何か貼ってあるのですか」
「どうして」
「屁放不出来。」(屁が外へでてこないのです。)
「為了頂防出血、大夫肛門上密封了。所以、屁放不出来呀。」
  (出血しないように医師が肛門の上を密封しています。だから屁がでないのよ。)
「屁放不出来也、没関係、不要緊!」(屁がでなくても心配ありません。)
 どのような手術でも術後、屁と大便と小便が出てくれば内臓機能が正常に動作していることを示しており素人ながらも安心できる。カテーテルで小水が出るようになり一息ついていたが、ガスがごろごろと腸の中を移動している感覚があるのに、最後のところで外へ出ないのである。何度か同じことが繰り返されるが、最後はいつも同じである。だから気分がすっきりしない。
 前々から気がついていたが、中国人は自然の生理現象についてストレートに言葉を使う。だから若い看護婦でも平気で“屁”、“大便”、“小便”といい、生理現象そのまま自然に受け入れているのがわかる。変に言葉を変えることもないようだ。その外の自然生理現象に対しても概ねそのままの言葉を使っている。
 テレビなどでも若い娘さんが“屁用”と言う場面がしょっちゅう出てくる。これは「屁にもならない。」ということで、ものごとが役に立たないことを強調するときに使われる。日本でいえば若い娘さんが「そんなことは屁みたいなものだ」とか「そんな話は屁にもならない」というような言い方をごく普通にしているのと同じようなものだ。
 これが「増大したエントロピーを系外(体外)へ排出しないと生命体は生命を維持できないという」大原則との闘いの始まりであった。カテーテルは二日目の午前中まで挿入されていたので「小水」は問題なかったが、その後、カテーテルをはずしたあとの小便と、さらに大便という増大したエントロピーを体外へ排出するという苦行が始まったのである。
 看護婦と書いたがじつは中国には看護婦という言い方はない。いまの日本と同じように看護士と同じ意味の“護士”という。看護婦の場合は “女護士”となる。呼ぶときは“護士”さんでなく単に“護士”でよい。語調によって「看護婦さん」の意味になる。
その外、ごく普通に使われる屁のついた言葉を参考にまとめる。意味深長である。
  屁大 pida ピーダー これっぽち。(小さなことを強調するときに用いる)
  屁股 pigu ピーグ 尻
  屁滾尿流pigun niaoliuピグーン ニアオリユウ 
    驚きのあまりあわてふためく(直訳:屁が転がり尿が流れる)
  屁話 pihua ピーフア ばかな話
  屁事 pishi ピーシー 取るに足りないこと
  屁眼 piyan ピーイエン 肛門

【 註】
   屁 pi ピー 屁
   大便 dabian ダービエン 大便
   小便 xiaobian シアオビエン 小便
   屁用 piyong ピーヨン
   護士 hushi フーシ 看護士
   女護士 nu hushi ニューフーシ 看護婦