ふいちゃんの中国日記

生活編/健康

増大したエントロピー

2006年2月19日

 熱力学に2大法則がある。浅学を省みず少し述べてみる。
    第一法則は「エネルギー不滅の法則」
    第二法則は「エントロピー増大の法則」
エントロピーに関する本を読むと、この道の第一人者といわれる大家が書いたエントロピーの本のなかにけっこう間違いがある、などと書かれているし、はたまたエントロピーというのはまちがっているという説もある、とも書かれてあったりして、つまりなにがなにやら分からないのであるが、わたしとしては「エネルギーが使われていくとその質が劣化していく」と理解している。
 たとえば、ガソリンは良質のエネルギーであるが、空気と混合されて燃焼されることにより車のエンジンを動かし、推進力となる。また一部は熱にもなって空中へ逃げる。その外、タイヤと地面の摩擦熱、空気抵抗力、排気ガス等に姿を変えるがエネルギーの総和は変わらない。このようにエネルギーの質が劣化して、わたしたち人間には役立たないエネルギーにかわっていく。しかし、人間には役に立たないエネルギーでも他のものには有用なエネルギーとして使うことが出来る。
 また、食料も良質のエネルギーである。人間は食物連鎖の頂点にいて、生命を維持するためにさまざまな食料を摂りこむ。摂りこんだエネルギーで体温を維持し、頭脳、手足を動かしてさまざまな活動をする。同時に汗、小便、大便、屁、ゲップ、爪、髪の毛などを排出する。わたしたちはこれら増大したエントロピーを「老廃物」と呼んでいる。老廃物は人間にとっては不要なものであるが、まだ十分にエネルギーを持っていて、他の植物にとっては有用なエネルギーとなる。特に小便・大便は人糞として植物の肥料に使われることで知られている。
 日本でも半世紀ほど前までは人糞はりっぱな肥料として使われていた。中国では今でも農村では貴重な肥料として使われていると聞く。だから中国での生活が長い人はよく回虫が腸の中にいて肛門から出てくることがある。わたしの知っている人で、中国で10年ほど住んだあと日本へ帰ってきてから、肛門がむずむずするのでなんだろうと思ったら直径10mm、長さ20cmほどの回虫が出てきて、引っ張り出したという話を本人から聞いたことがある。幸い、わたしの場合はまだそのような経験はないが、この何十年も回虫検査などしたことがないからわかったものではない。
 「増大したエントロピーは系外へ排出しないと生命体はその生命を維持できない」といわれている。わたしたちは小難しい理屈は知らなくても、人間はこの老廃物を体外へ排出しないと生きていけないことを本能的に知っている。だからこそ老廃物の排出は「快楽」を伴うようにできているのだろうと思う。排尿の快楽、排便の快楽、放屁の快楽等である。老廃物の排出が苦痛だったら人間はとっくの昔に滅んでいたかもしれない。老廃物が体外へ排出できないとか、排出時に痛みを伴う場合は生命の危険状態あるいは病気のときなのである。