ふいちゃんの中国日記

生活編/健康

排尿

2006年2月20日

 手術した日の夜に尿道にカテーテルを挿入した。管の色が飴色をしていて一見してゴムだなとわかる。感じとしては人体にもっとも影響の少ないシリコンかテフロン製の管だろうと先入観をもっていたのがみごとにはずれた。ちょっといやな予感がしたが拒否することもできない。看護婦さんが青色の消毒液で亀頭全体を消毒し、「すこし痛いですよ」と断りがあってから、ちょいとつまんで挿入した。たしかに途中すこし痛かったが、「うっ」と言っているうちに挿入作業は終った。
 このカテーテルは翌日の昼まえにはずされた。抜くときは別の看護婦だったが、あっという間だった。挿入のときより抜くときのほうが痛みがあった。このあとが大問題で、尿意を催してトイレにいっても尿が全く出ないのである。どうしたものかと考えた結果、膀胱の上を全体的に指圧するように手でマッサージしていた。すると突然、膀胱全体に腹圧がかかり、尿が出始めた。そうか、こうすればいいのだと一人で理解。しかし、量は多くない。だからこれを何度か繰り返して、このくらい出たらいいなと思うところで排尿終了というわけである。
 医者にも看護婦にも尋ねなかったが、手術した部分が腫れて尿道が圧迫されてふさがっている状態になっているのだろうと自分なりに解釈していた。だから、この状態は腫れが治まるまでは続くだろうと納得していた。手術から3日目に少し排便があった直後に自然に尿がまとまって出たのでやはり圧迫されているのだなと合点。この排尿作業はけっこうつらい。出尽くしたという感がなく、残尿感がいつもあるので気分はすっきりしないが、排尿ができなければ生命に係わるのでこちらも必死である。
 回復は4日目の夜にやってきた。尿意を催してベッドから降りた途端に排尿が始まったのである。いわゆる“おもらし”で、自分の意志では全くコントロールできない。あわててトイレへ駆け込みすっきりとした気分になる。これ以降、排尿は正常状態に戻り、腫れがひいてきたのだなと自分なりに感じることができた。むかしは便器が割れるのではないかと思われるほどの勢いのある小便をしたものだが、ああいう健康なときをなつかしく思ってしまう。
 今回、手術まえに肛門を洗浄してくれ、またオチンチンをつまんで尿道カテーテルを挿入してくれて気分を楽にしてくれた看護婦さんに親しみを感じてしまった。看護婦さんはただ、仕事として淡々と作業をしているだけなのであろうが、「まな板のコイ」になっている患者としては天使のような存在に映るのである。世間で入院中に看護婦さんと知り合い、結婚したという話をよく耳にすることがあるが、「ああ、あういう人達はこういう感情がスタートになっているのかなあ」となんとなくわかったような感じになる。