ふいちゃんの中国日記

社会編/現実

こどもを産むのに3万元

2006年3月15日

 中国が一人っ子政策をとっていることはよく知られている。案外知られていないのは農村では二人産んでもよいし、少数民族には制限がないこと、また、都市でも1万元払えば二人目を産めることなど。さらにその制限のために戸籍を得られない子供が“黒子”と呼ばれて確実にあるボリュームで存在していることなど。この“黒子”は、帳簿上存在しない子だから学校にも行けないし、身分証明書を要求されるような状況には全く対応できない存在にある。たとえば飛行機のエアチケットが買えない等々。しかし、“偽者のないものはない"と言われるかの国ではこういう人たちのために偽の身分証明書がすでにあるのかもしれない。
 しかし、通常はこどもは一人である。だから、こどもに対する思いが他の国の人たちとはかなり違っていてもおかしくない。身籠ったことがわかるとまず食生活をがらりと変えるという。普段はあまり食べないような栄養豊富な食べ物をたくさん摂り、胎児に栄養をどんどん回す。その結果、最近の中国では胎児は4kg以上に太り、4kgを下回ると痩せているということになるらしい。そして、太っている影響か通常分娩でなく、帝王切開の出産が増えているという。ちなみに帝王切開は“破腹産”というが、読んで字の如しで非常に解りやすい。
 食べ物、出産のための入院費用、産後の栄養豊富な食生活、これらの費用がざっと3万元だという。給料800元とすると約3年分、1600元とすると1年半の年収に相当する高額であり、日本では考えられないような支出比率であるが、自分たちのたった一人の後継者のためには惜しくない金額だともいう。

 【註】
   黒子 heizi ヘイズ 戸籍のない子
   破腹産 pofuchan ポーフーチャン 帝王切開