ふいちゃんの中国日記

生活編/衣食住

生きる為に稼ぐ、稼ぐために生きる

2006年3月27日

 人は生きるために銭を稼ぐ。通常は定年退職まで延々と続く。多少の無理をしてでも家族を養うため、土地を買うため、家を建てるため、車を買うため、等等さまざまな理由が人それぞれにあり、それぞれの目標を達成しようとして銭を稼ぐ。
 日本では特に田舎では一人一台の車を持っている例は多い。車がないと仕事にあるいは生活に不便だからである。だから、4人家族では一家に4台の乗用車があってさらに農耕用の軽自動車とかバンがあったりする。中国では車の普及が進んだとは言え、まだ個人で車をもっている例は非常に少ない。だが、わたしの知る限り、ほとんどの人が上昇志向が非常に強く、金を貯めて将来家を買う、車を買う、電化製品を買う、などの目標をもっている。
 きょうは停電の振替え出勤で土曜日が勤務となった。こういう振替え出勤日というのはどうもだれ易く、ほとんど残業などしない気分で皆、定時でさっさと帰ってしまう。会社からアパートまで送ってくれる車の手配も、荷物の運搬のついでがあるからきょうは小型トラックでもいいかと聞いてくる。こちらもダメというのも言いにくいものだから「いいよ」と言う。するとその話を側で聞いていた独身のまだ若い女係長がクッションの悪いトラックでは気の毒と思ったのか「わたしが車を買ったら乗せていってあげますから」と言うので「いつごろになるのかい」と聞くと「あと20年くらい経ったら」と返してくる。
 こういう何気ない会話からわたしは彼女の将来設計をなんとなく感じることになる。乗り心地の悪さを察して、冗談でもこう言ってくれる気持ちがうれしい。おそらく20年後の中国は彼女もあるいはもっと早く車が買える所得水準に十分になっているにちがいない。
 このように人は生きるために銭を稼ぐ。ところが年金を貰える年齢になると話が違ってくる。日本の年金は終身である。だから長く生きれば生きるほど総額が増える仕組みになっている。そうなると生きるために銭を稼ぐのではなく、銭を稼ぐために生きるということになる。つまり60歳を過ぎたら生きること自体が銭を稼ぐことになるわけだから、いずれの場合も健康が第一ということになる。中国にも同じ言い方があって“賺銭為了活着”“活着為了賺銭“と言う。

【註】
  賺銭為了活着 zhuang qian weile huozhe ジュアン チエン ウエイラ フオジャ
                      生きるために銭を稼ぐ
  活着為了賺銭 huozhe weile zhuang qian フオジャ ウエイラ ジュアン チエン
                      銭を稼ぐために生きる