ふいちゃんの中国日記

生活編/出来事

某日系銀行の日本人職員

2010年11月5日

某日系銀行の日本人職員は大連においても完全に日本式である。まず、初めての電話のときの応対はどこの馬の骨ともわからない相手に丁寧な応対などとんでもないといった塩梅である。マネーロンダリングを防ぐために外貨口座を開くのは簡単にはいきませんとか、サインのときは本店に来てもらって本人の顔とサインしている現場を映像に証拠として残さなければならないとか、いろいろ言う。

ところが次の日の電話は打って変わった丁寧な応対である。このことを日本側へ伝えたら、日本側の社長が言う。前日の夕方に日本側から古くから付き合いのある某支店へ「しかじかかくかくなのでよろしく」と挨拶したのだ。その支店から大連の出先へ「よろしく」と連絡があったのであろうという。

わたし自身はまったく変わっていないのに、相手がどういう組織に属しているかで応対がころっと変わってしまうのだ。銀行はいまや株式会社なのに昔の習慣がそのまま生きていて、自分の組織のことを当社ならず「当行」とおっしゃる。こちらが御社と呼んでも「当行は」と返事が返ってくる。

帰るときはエレベーターのところまで送ってくれるのだが、ドアが閉まる直前この方は深深と90度腰を曲げて挨拶する。となりの中国人スタッフは単に「バイバイ」というだけである。

本件に関してはわたしも実務はしなく、中国人スタッフにすべてやってもらったのでとやかく言う筋合いはないのだが、見ているとこの銀行の日本人職員も実務は完全に中国人スタッフにまかしている感じである。ある書類の調印の前日に電話があって「あしたはパスポートを忘れずに持ってきてください。」と言う。「じつは角印も用意しております。」と言うと「いえ、角印はいりません。」という返事。しかし、角印が要ることは同じ銀行の別の筋から知らされていたのだが、「ああ、そうですか」とすっとぼける。

翌日、その会社(つまり銀行)を訪問してサインしたのだが、パスポートは一度も要求されなかったうえにわたしの「角印」は銀行の中国人スタッフがしっかりと書類に押印したのであった。要ると言われたものが要らないで、要らないと言われたものが要ったのである。しっかりと養成した中国人スタッフを揃えておけば業務は順調に執り行われるのだ。

最後に、わたしの中国人スタッフが嘆いた。「日本の銀行はなんて面倒くさいのだろう。中国の銀行は簡単です。」言葉の通り、人民元の口座開設は申請の翌日にすんなりと開設されたし、わたしが中国系銀行へ出向く必要もなかったのだ。