ふいちゃんの中国日記

観光編/大連近郊

中国のオバタリアン

2012年5月6日


飛行機に乗るとき、わたしは最近ほとんど通路寄りの座席を希望する。理由は簡単で、足場が広く取れるので楽だからである。搭乗手続きのときそう希望すればほとんどの場合取れる。

いつものように通路寄りの座席に座っていた。すると、突然、手の甲でわたしの身体をどけと言わんばかりの動きである。手の意図するところはわかったので安全ベルトをはずし、立ち上がって通路へ出て席を譲る。

二人ずれのオバサンであった。この二人、窓の外を見たり、ときには「ゲフ」と大きなゲップをしたり、大声で話をしたりと楽しそうである。言葉から察するに、成都人のようだ。なにかの用事で大連に来てその帰りといった様子で、開放感にあふれている。

お二人とも、頭の毛は栗色に染め、根元から先まで細かくねじれるようなパーマをかけている。これは中国では最近よくみかけるスタイルであるがそのスタイルの名前はわからない。だが、最新流行の髪型ではあるが、全体としてちぐはぐな感じではある。

と思うと、「ハックション」と口元も押さえずに大くしゃみをして平然としている。風邪の菌でも持っていたら100%感染だなと思っても息をしないわけにはいかない。

食事がでた。食欲旺盛な様子でくちゃくちゃと食べる音がすごい。いわゆる「豚口」である。おかずの「搾菜 zha4 cai4 ジャー ツアイ ざあさい」もプラスチック袋の口を切ったかと思うと左の手の平にどばっと出して、それを口で直接二口、三口で食べてしまい、ものすごく効率がいいのだった。普段からこういう食べ方をしているのであろう。

食事が終わるとわたしの席の前(前の座席の背面)においてあった新聞を黙って取って読み出した。わたしも隣の人が読み終わった新聞を読むことはあるが必ず事前に一声かける。断られたことなど一度もないけれど礼儀というものであろう。

5~6分読むと飽きたのであろうか、元の場所へ新聞を返して退屈そうな様子で、二人はまた話しを始めた。まるで世界の中心にオバサンがいて周りはまったく眼中にないかのようである。

これぞまさに中国のイバタリアンではないか。こういうオバサンはストレスなど感じることはないのかもしれない。この話を成都に着いてから友人に話をしたら、「その人はきっと農村部の人であろう」ということであった。