ふいちゃんの中国日記

文化編/中国の知恵

ひよこの孵化

2006年5月6日

にわとりは3週間卵を抱いて孵化させる。
田舎育ちのわたしは小さいころ、おふくろがよくひよこを孵していたのを見て知っている。
ひよこが母鳥の後を一生懸命に小走りについていく姿は微笑ましい光景として記憶に残っている。

大量生産では恒温乾燥器で雌鳥と同じ温度に保って卵を孵化させる方法がよく知られているが、わたしの知っているある娘さんの話はとても興味深い孵化方法であった。

この娘さんの故郷は黒竜江省で、夏は緑がとても美しいところだという。
だから毎年夏は帰省して美しい緑のなかでひとときを過ごし、リフレッシュして大連へ戻ってきてまた仕事に頑張るのだという。

彼女のおふくろさんの孵化方法というのはこうである。
大きなビニル袋に水を入れ、外で太陽に晒して太陽熱で水温を上げる。
その上にたくさんの卵を置いて孵化させる。
一度に100個〜200個もの卵を孵化させてひよこを売るのだという。

温度管理をどうするのだろうかと思ったが、くわしいところはこの娘さんも把握していないようだ。
昼間は太陽があれば温度計である一定温度範囲で管理できそうだが、曇りの日はどうするのか。
さらに夜はどうするのか。
ビニル袋の中へお湯を入れて一定温度に保つのか。
温度が下がってきたら又お湯を追加するのだろうか。
そうすると一晩に何度か起きて温度を測り、お湯を沸かすのだろうか、発泡スチロールなどの断熱材をきっと使っているのに違いない、などと想像をたくましくする。

3週間の間の温度管理方法についての確固としたノウハウがあるのであろう。
私たちは電熱線とか裸電球で暖めてサーモスタットで温度管理してとか考えるけれども、実際に行われているこういう方法の話を聞くと、智慧を働かせればさらにいろいろな方法があるのだということを知らされる。

生活環境の違うところではまた別の生活の智慧が働いている。
この娘さんはこのほかにもまだまだわたしの知らない生活の智慧という引き出しをたくさん持っているような気がする。