ふいちゃんの中国日記

社会編/公共

エコノミークラスの特別な席

2006年5月15日

大連へ戻る南方航空の飛行機は予定通りに成田を離陸し、予定通りに大連へ着いた。
ゴールデンウイークが終った直後の関係か、成田空港は人も比較的少なく、飛行機はかなり空席が目立った。
ひょんなきっかけからエコノミークラスでもっとも最後に埋まる席があることを知った。
それは非常口のそばの席で座席番号は09A(ただし、飛行機のタイプによりこの番号は異なる)である。
今回もそれを指定してすんなりとかなえられた。

この座席に座って1分も経たないうちに“空中小姐”がやってきて言う。
「どうしてこの席に座っているのですか。」
「だって、ここはわたしの座席番号だよ。」
「では半券を見せてください。」
「ああ、これだよ。」
「ここがどういう席か、知っていますか。」
「ええ、知っていますよ。」
「ではこの説明書をよく読んでおいてください。」
「いや、読まなくてもわかっています。」
「そうですか。わかりました。ではどうぞ、そのままお座りください。」

じつはこの席に座っている乗客は非常時に扉を開けるとき、乗務員に協力しなければならないことになっている。
この席のいいところは前が広いことで、だから足を伸ばすことができるので楽なのである。

そういう事情のため、この座席はエコノミークラスが満席になった場合のみ最後の1席になるのだという。
満席でない場合はこの座席だけは空けておくのが通常で、そのため、かなり空席が目立ったにもかかわらず、この座席に座っているわたしを見て番号をまちがえたのであろうと思ったらしい。

さらにこの座席に座るといろいろ注文をつけられる。
まず、ショルダーバッグなどの小物でも前とか横とか、あるいはひざの上さえも置いてはいけない。
必ず上の棚の中へ入れさせられる。非常時の際、障害物になるからである。
頼みもしないのに乗務員が棚へ上げてくれる。

非常口に小さな台がついているが、この上には何も物を置いてはいけない。
はては非常口にあるツマミとか何か、とにかく一切触ってはならない、等々。
はっきり注意する空中小姐もいればなにも言わない空中小姐もいる。
おそらくマニュアルでは注意するようになっているのではないだろうか。

但し、この座席に座るにはある条件をクリアしなければならないのであるが、それは敢えて書かない。

 【註】
   空中小姐 kongzhong xiaojie コンジョン シアオジエ ステュワーデス