ふいちゃんの中国日記

観光編/延吉

反日感情

2006年11月20日

中国・北朝鮮・ロシア辺境の旅から帰ってきて、日増しに強く感じてくるのがあの地域における「反日感情」である。
旅行中はあまり意識することはなかったのになぜだろうか。
中国の南方では今までほとんど感じたことのなかった「反日感情」。

昼食で地元の食堂へ入るとまずガイドに聞くのが、あの客は韓国人か日本人かであった。
雰囲気から中国人ではないことはわかるらしい。
すると韓国人か日本人かということになるようだ。

店の人が運転手に小声で聞いている。
言っている本人はわたしが中国語がわかるなどは想像もしていないのであろう。
だが、こちらは中国語が聞き取れるからはっきりとわかるのである。
店の人にとってはわたしが韓国人か日本人かを識別することは大変重要な意味を持っているようなのだ。
どこに立ち寄っても必ず最初に耳に入ってくるのがこの「韓国人か日本人か」という言葉であった。

時間の経過と共に、行く先々で耳に入ってきたこの言葉の意味がずっしりとわたしを覆いかぶさってくるようになった。
おいしそうに食事をしているそばで「ふん、あの日本人め」と思われていたのかも知れないと思うと全くいい感じがしない。

運転手が突然言う。
「周恩来が日本に賠償を求めなかったのを知っているか。」
「ああ、知っているよ。」
だが、「あなたは日本が中国へ多額の円借款を与えたことを知っているか」とは聞かなかった。
恐らく知らないであろうことが分っているからだ。
相手を刺激する必要はない。
なにせ命を預けている身だ。

ガイドも畳み掛けるように言う。
「日本人の若い人はかつて日本が中国で行ったことを全くといっていいほど知らない。」
「あなた方はどうして知っているのか。政府がそのように教育しているのかい。」
「そうだ。」
「わたしは社会人になってからいろいろな書物や小説を読んで知った。」

紅葉も綺麗だし、景色もいい、さらに辺境という新鮮さもあってそれはそれでいいのだが、この辺境の旅は余りお薦めしないほうがいいと思うようになってきた。
但し、強烈な、決して表面には出てこない反日感情を承知の上で行く分には構わない。