ふいちゃんの中国日記

生活編/出来事

歯科の先生と携帯電話

2007年1月12日

わたしが通っている大連開発区の日本人歯医者さんはなかなか融通のきく先生である。本来は治療中はスイッチを切っておけばいいのだが、ついつい忘れてしまう。かならず口をあんぐり開けてウイーンウイーンと削っているときに限って携帯電話が鳴る。しかも日本からいつも同じ人からの電話である。

わたしはいつも午後1時から予約しているが、この時間は日本では2時である。おそらくその人にとっては仕事が一段落つくかなにか都合のいい時間なのであろう。先生はすぐ治療を中断して「いいですよ。中国では携帯がないと生活していけませんから。」とあっさりしている。決して「治療のときはスイッチを切っておいてください」などとは言わない。

さすがにこのころは治療の前にスイッチを切るようになったが、それでも先生はスイッチを切ることはしない。こちらが口をあーんと開けてグイーングイーンと削っているときでも携帯電話がなるとさっさと治療を中断して携帯電話を耳にあてながら隣室へ移ってしまう。

先生、こんな途中で携帯電話など放っておいてくださいよ、と言いたくなるのだが、こちらも先生の言葉に甘えて携帯電話を取ったりするのでそうも言えない。先生もまずいかなと思うのか、治療室へ戻ってくると「場所がわからない患者さんでしたよ。じつは、似たような名前の歯科医院が開発区医院の近くにあるのでタクシーの運転手がしょっちゅうまちがって連れて行くのですよ」などと弁解じみた説明をしてくれる。別にこちらが聞いているわけでもないのに。

しかし、先生にしてみれば貴重な日本人の患者さんなので営業上唯一つながりのある携帯電話を無視することはできないのだろう。治療費は日本とまったく同じ計算方法だから中国でみればべらぼうに高い。100%負担である。幸い国民健康保険に入っているので帰国後、手続きすれば70%は戻ってくる。