ふいちゃんの中国日記

仕事編

風邪ひいてんやけど

2007年2月28日

世の中にはいろいろ不思議な人がいるものだなあと思う。ある会社の営業Aさんが日本から親会社の人を案内して大連へ着いた。直接こちらへ来ないで別件で別の会社を訪問して夜、合流することになっていた。

途中、電話が入ってきて
「案内したお客様が風邪を引いてんやけど、どこか薬売ってるやろか」とおっしゃるので、
「大丈夫ですよ。中国は夜遅くまで薬局が開いているので問題ありませんよ。」と答える。合流点へ行く途中に薬局があったので、これは好都合だと「白加黒」を2箱買って差しあげることにした。

この薬は西洋薬で、わたしはまだ服用した経験はないが、多くの人がこれはよく効くというので買うことにしたのである。朝と昼は白いのを、夜は寝る前に黒いのを飲むようになっている。なぜ黒いのを寝る前に飲むのかというと、黒は飲むと眠くなるからである。

合流後、風邪を引いているというお客さまへ風邪薬ですとこの「白加黒」を差し出したら、キョトンとしている。
「あれ、風邪を引かれたのではありませんか。Aさんからそういう話でしたが」と言うと
「いいえ、全然。」
今度はこちらがキョトンとする番である。
「Aさん、これはどういうことですか。」と尋ねると
「うむ、むやむやーー。」
と訳のわからない返事で、その風邪薬をテーブルの上へ置いたままである。
「ま、とにかく風邪薬を納めてください。」と言うと、Aさんがポケットへ入れたのである。なるほど、そういうことだったのか、と腑におちたのであった。

しかし、自分が風邪を引いているのに、なぜお客さまが風邪をひいているかのように言わなければならないのかね。お連れしたお客さまでなくても、Aさんもわたしたちの会社にとっては大事なお客様であるので、Aさんが風邪を引いていたとしても風邪薬くらいは当然こちらで準備するのにである。お連れしたお客さまと言えば確実に買ってくれるだろうと読んだのであろうが、読みすぎると逆に不自然になって、品性がばれてしまったのである。

それから2〜3日滞在されたが、風邪がよくなったとかの話は一切聞くことはなかった。


【註】
  白加黒 bai jia hei バイ ジア ヘイ 風邪薬の名前