ふいちゃんの中国日記

仕事編

賄賂の手口(人材派遣会社編)

2007年3月12日

賄賂の手口はいろいろある。聞いた話なので、どこで、誰がなどという具体的なことは抜きにしていくつか紹介してみよう。

人を募集するとき、中国には大きく3種類の方法がある。

(1) 公的な人材市場を経由する。大連では募集内容を掲示する費用が1週間で100元である。
(2) 私的人材派遣会社を利用する。
(3) 個人的な知り合いを利用する。

問題は(2)と(3)の場合である。私的人材派遣会社の規模はまちまちで机1個のところから電話だけのところもある。こういう私的人材派遣会社は存在そのものは違法ではないらしい。

運営費は応募者から手数料として提供される金である。例えば、就職口を紹介し、決まったら1,000元~2,000元を手数料として私的人材派遣会社へ払う。金額が違うのは一般従業員、係長、課長といった職位(=給料)とも相関している。その有効期間は6ヶ月の場合が多いようだ。つまり、6ヶ月以内に仕事が合わないとか何らかの理由で、一度決まった勤務先を辞めた場合、すでに払った金は返さないかわりに次の就職先を無料で紹介する、といった仕組みである。

求職者がなぜ、こういった私的人材派遣会社を利用するかというと、手数料の見返りに、決まるまでかならず就職先を斡旋してくれるからである。公的人材市場を経由する場合は決まるまで本人が一生懸命仕事を探さなければならないからけっこうしんどいのだ。

ここまでは問題はない。問題は募集する会社の人事担当者と私的人材派遣会社との関係である。つまり、「一人当たり20%私によこせばあなたの私的人材派遣会社を使ってあげる」といった手口である。平均が1,500元で、仮に年間100人採用すれば15万元の20%=3万元がその担当者の懐に入っていくことになる。

これはぼろい商売で、月平均2,500元になる。ちょっとした口利きで一般従業員の3〜4倍も入ってくるのだ。しかも元手ゼロかつ無税である。これでは家が建つのもうなずける。しかもこういうことをやっている人間は利用できる機会があれば必ず別の方面でも同じようなことをやっている。笑いが止まらないであろう。

中国は日本と違って人の流動性が非常に高い。ちょっとでも今の給料より高い会社があれば簡単に移って行く。愛社心などという言葉すらないのではないか。開発区のある会社は管理職を除き、一般従業員は2年間でほぼ100%辞めてしまうという。このくらい流動性が高い会社もある。500人の内400人が一般従業員だとすると年間200人が辞めていく計算になる。200人だと賄賂収入は月5,000元で年60,000元にもなる。1年で車が1台買えることになる。

(3)の場合はいかにも公募を装っていて最初から採用者が決まっている場合である。これはけっこう身近にもあって、珍しいことではない。完全な出来レースで、知らずに時間を費やして入社試験を受けにきた求職者をバカにした話しである。こういう出来レースの場合はまず間違いなく「金が動いている」と見て間違いない。