ふいちゃんの中国日記

仕事編

賄賂の手口(協力会社編)

2007年3月13日

Sさんはある会社の外注管理部長である。見るからにふくよかで顔には艶があって、栄養が充分にいきわたっていることが伺える。規模の大きい会社は大連でも協力会社を使っている。中には月100万個単位で製造しているところもあり、1ヶ月の売上げが50万元になるところもある。

外注管理部長は協力工場を決めるとき、それなりに管理方法や生産技術が所定水準に達していることは当然要求されるが、最後は「私に売上げの2%をくれれば採用します。」といった調子で決めていく。50万元の2%は1万元である。これを2社もてば2万元となる。会社の給料などどうでもいいという額になる。

こういう人は自分の利権を守るのに最大の努力をする。たとえば技術的な問題があって、技術部門が既存の協力会社を止めて新しい協力会社を探していることを察すると必ず口を出してくる。例えば、既存の協力会社に情報を流して、既存の協力会社からも工作を開始させる。

一方、新しい候補会社にも顔をだしてきて、それなりに探りを入れる。会社の方針として賄賂を出す会社かどうかを見極めるのである。この種の人はその道の嗅覚は発達しているようで、候補会社は賄賂を出さない会社だと察すると、これをつぶしにくる。Sさんにとっては会社の利益がどうのこうのはあまり関係ないことであって、自分の収入が減るか増えるかが最大の関心事だからである。

会社に勢いがあるうちは全体としては影響が少ないが、あまり元気がなくなってくると、この種の人が会社の足を引っ張ることになる。会社にとってどういう選択がベストかではなく、自分にとってどういう選択がベストかで決めていくわけだから、会社の利益と一致しないことが往々にしてあるからである。

そして、この種の人は必ずといっていいほど、その会社の中では誰もに「やってるな」と思われている。ただ、証拠がないだけのことである。