ふいちゃんの中国日記

仕事編

賄賂の手口(事務用品編)

2007年3月14日

これもある人から聞いた話である。中国は縁故を重視する傾向がある。その心理を逆用して周囲の人間に、「うちは購買を管理する部門のX部長と親戚です。よろしく。」などと言いふらす。本当に親戚がどうかなどわかったものではない。その証拠に事情があってX部長が会社へ来なくなって、後任のY課長がやってくると、今度は「Yさんとうちは親戚です。よろしく。」などと言いふらしているからである。

事務用品を注文するのにファックスなどは使わない。なぜなら、注文先の事務用品店にファックス機がないからである。信じられないことだが、電話でいちいち時間をかけて注文の名前と数量を伝えている。納品で工場へ来ても、親戚だからと事務所の中の机のところまで乗り込んできて、ときには馴れ馴れしく話し込んでいく。

よその会社の心臓部へ乗り込んできて長話をしている人間に気がついて、「あれは誰だ」と聞くと、X部長の親戚の人ですという返事が返ってくる。こういう零細規模の商店(ひょっとしたら店構えなどない可能性もある)にコスト競争力があるとは到底思えないのである。

実際にこのY課長の親戚でもあるというこの店から買う事務用品は品質上、過去いろいろな問題が発生していて評判が悪い。例えば、シャープペンシルの替え芯が使っているうちに頻繁に折れてしまう。全体の2/3は折れてなくなってしまう。こんな芯を売っていたらさぞかし、販売量は増え、商売繁盛であろう。鉛筆で字を書いていて、ちょっと力をいれたらすぐ折れてしまうような品質の悪い替え芯は実際上使えないのである。

こんな替え芯を使っていたらストレスが溜まってしまう。さすがに評判が悪くてたくさんの従業員からクレームがついたものだから、この替え芯は返品処置となった。水性ボールペンでも初めはいいが、インクが1/3もなくならないうちに字が書けなくなってしまう。先端の球の精度が悪くて微小な紙屑などを巻き込んでしまうのであろうか。

客先から毎年値引き要求がくるのに、買う方へは全然値引き要求をしたり、どこかもっと安いところはないかと調査するといったことはしない。なぜなら、値引きによる会社への利益貢献は、すなわち本人の収入の減少につながるのだからするわけがないのである。たかが事務用品とは言え、種類は多い。会社の規模によって購入金額は当然違ってくるがちょっとしたところでも毎月2000~3000元は使っている。5%としても100元〜150元はちょっとした小遣い稼ぎになる。その分、会社は高い品物を買っているのである。

客先は全て一流の企業であるのに、購入先は3流のところから品質の悪いものを買っている。こういう間接部門には原価意識などは希薄で、会社のためにいい物をいかに安く買うかではなく、いかに自分のふところが潤うかの観点で行動しているのだから始末が悪いのである。