ふいちゃんの中国日記

仕事編

賄賂の手口(電脳、打印機編)

2007年3月17日

(これも聞いた話である。)電脳(コンピューター)や打印機(プリンター)を買うときの手口はこれまでの手口より少し進歩している。一般にコンピューターやプリンターなどは3ヶ月あるいは半年で新モデルが発売される。中国でも事情は似ている。新機種が発売されると旧機種はとたんに値崩れして安くなる。

賄賂の手口を考える人間はこの値崩れ分を巧みに利用する。新型は値引きが少ない。しかし、旧型は値崩れしているので大幅に値引きができる。例えば「聨想」のコンピューターは中国では一通り名前が浸透しているが、3月に出た新機種のF40AT T2250はカタログ値が7,999元である。旧機種はF40AT T2050で、すでに値崩れしていることは容易に想像できるし、買おうと思っても流通在庫すら簡単には見つからない。

賄賂を取る人間に共通しているのは購入先を変えないことである。価格比較してこれまでとは違うも店に決まると賄賂のルートを再構築しなければならないので不便なのである。

見積は最小限3社で比較せよ、と方針が出ると、お茶を濁す程度のことはする。本気になって相見積して、自分で自分の首を絞めるようなばかなことはしないのである。

見積比較をさせると、従来の店のは見積書でなく、一覧表である。2社目は手書きの見積書で、客先の名前もなければ、店の名前もない、年月日もないといった内容である。一見して見積書など書いたことがないのではないかと思ってしまうほどの書き方になっている。おまけに値段はほとんど下がっていない。3社目のは担当者がメモ書きしたものなので、「何だこれはと聞く」と「店のファックス機が故障していて、ファックスを送れないので電話で聞いた内容を私が書きました。」と言う。

なぜ、こんな見積書もまともに書けないようなところから見積書を取り寄せるのかと聞いても明確な返事は返ってこない。要するに従来の店から買いたいのである。そのためには価格競争力のあるまともな店から見積書をもらったら困ることになるわけで、賄賂の入ってくる店の価格がもっとも安くなければ選ぶ理由がなくなって困るのである。

「F40AT T2050の7999元が値引き交渉の結果、7400元になりました」という。大体のことは察しがついているから、「これでは承認できない。さらに1000元目標で値式交渉しなさい。」と指示すると、何日経っても報告がない。どうしたのだと聞くと、交渉しましたが、これ以上は下がりません。」という。

「わかった。ではその経過と結論を追記して報告しなさい」と要求する。だが、客観的事実はF40AT T2050はすでに旧型で、現行機種はF40AT T2250であること、そして新型のこの店頭実勢価格は7200元であることである。後続機種が値引き後価格7200元で、旧機種の値引き後価格が7400などという馬鹿な話はないであろう。値引き分500元に近い金額が賄賂として担当者のふところへ入っていくことになる。だから、本来旧機種は6900元くらいが相場であろう。

こんな摩訶不思議な見積書の数値を承認することなどできないではないか。