ふいちゃんの中国日記

仕事編

賄賂の手口(闇両替編)

2007年3月18日

この例は賄賂とは言えないかもしれない。しかし、精神は同じである。例えば、日本円を人民元に両替する場合、一般に銀行・ホテル・知人・闇両替屋の4種類がある。

銀行はパスポートがあればすんなり両替してくれる。しかし、銀行によっては両替できないし、また、同じ「中国銀行」でも地方へ行くと全く両替できないところもあるので要注意。外国人が宿泊できるホテルは原則宿泊客が両替できるが、通常、パスポートが必要。またあるホテルは部屋番号さえ言えば両替してくれるところもある。さらに、顔見知りになると宿泊していなくても「顔パスポート」で両替してくれるようになったりする。こういうのは両替していない宿泊客の名前を無断借用して処理しているのでろうか。

問題は闇両替である。銀行へ行く時間がなくて、急に多額の人民元が必要になることがある。「蛇の道は蛇」で会社で賄賂をとっているようなタイプの人間はまた、こういう闇両替屋もよく知っている。電話すると、やがて工場の入り口までやって来て、出てくるようにと連絡が入る。1万円で、銀行より15元くらい高く両替してくれる。だから、10万円両替すると150元多くなる。

依頼された人はいかにも「150元も多くて得ですよ」と得意げに説明しながら人民元を渡してくれるが、闇両替を経験したことのある人間からみると「抜いているな」とすぐ分かる。しかし、「やあ、ありがとう」とだけ言っておく。銀行に行かなくても済んだし、ほんのわずかだが、銀行レートよりも人民元が多く手に入ったから、まあいいか、ということである。

わたしの経験でいうと、わたしが儲かった150元の少なくとも2倍以上の金をわたしが依頼した人は懐にいれた筈である。わたしが過去、いろいろな闇両替の経験の持ち主だということを知っていたら、もうすこし賢い配分にしていたかもしれない。

しかし、これは本人にとってはちゃんとした仲介手数料という名目で当然と思っているのであろう。シリーズで紹介している賄賂のタイプとはやや違うというのはそういう意味である。しかし、精神は共通している。機会ある毎に賄賂を取っているようなタイプの人間というのはこの種の収入源については極めて能動的に動く。

その闇両替屋をこちらに紹介してくれるなどということはあり得ない。なぜなら教えたら、以後本人の金を稼ぐ手づるがひとつ減るわけだから、決して教えてくれるということはない。そういう点では考え方は徹底している。