ふいちゃんの中国日記

仕事編

唯恐天下不乱

2007年3月21日

直訳すると、「天下が乱れないことをのみ恐れる」。解りやすく易くいうと「天下が乱れるようにとばかり望んでいる」。

日本には「立つ鳥、跡を濁さず」という言葉がある。どういう事情にしろ、良識ある日本人は会社を去るに当たって、以後の仕事が円滑に進むようにあれこれと配慮し、スッキリした形で辞めていく。引継ぎもそのひとつだし、人によっては引継ぎに最低2週間は必要だから早めに後任者を決めて欲しいなどと要望さえする。

“唯恐天下不乱”はまさにその逆で、自分が会社を辞めたあと、大混乱が起きればいいと願う心理を表している。特に、辞めたくないのに当人の原因で辞めざるを得なくなった場合などには顕著に出てくる。去った後のことなどわたしには関係ありません。困ればいい気味だ、といった具合に、当人の悪さ加減を棚上げにしてそう願うのである。ここには品性の問題が絡んでくる。

不十分ながらもそれなりに仕事をしてきた人が辞めれば、一時的に混乱が生じるのは当然である。だが会社という有機体はけっこううまくできていて、ある短い期間でそれを乗り越えてしまうことができる。たとえば、ある責任者が突然、飛行機事故で亡くなったとしても、それでその会社とか、その部門が壊滅的な損害を受けてそのまま倒れてしまうということはまずないのである。

ましてや、いろいろ悪さをしてきた人がいなくなれば、一時的な混乱があったとしても、悪さの原因がなくなることにより風通しがよくなって、全体としてはいい方向へ行く場合が多い。いくら、“唯恐天下不乱”と願ってもそうさせるわけにはいかないのである。

【註】
唯恐天下不乱 wei kong tianxia bu luan ウエイ コーン ティエンシア ブウ ルアン