ふいちゃんの中国日記

文化編/感覚が違う?

日中2000年の不理解

2007年5月8日


これは本のタイトルである。朝日新書、著者は王敏さん、¥720円。靖国神社問題に関心のある方は是非一読をお薦め。値段も手頃だし、買って損したということはまず考えなくてもよさそうな内容。

これを読むと、中国がなぜ日本の政治指導者の靖国神社参拝を非難し、日本側もその批判にも係わらず参拝を続けるかが理解できてくる。この本はわたし達日本人が当たり前と思っている、従って意識していない「古層」が何であるかを悟らせてくれる。

中国が儒教の国であり、絶対正義で、だから不正に対する紛糾は厳しい。そのため、不正をした戦犯を祀っている靖国神社を日本の政治責任者が参拝することはその不正を認めているとみて憤りを感じている。

一方、日本人はどんな悪人でも「死んだら仏」という。だから祀る。感性の違い、文化の違い、アイデンティの違いが根底にあって、お互いが相手の立場に立たなければ理解できない世界でああだこうだと言い合っている、ということが分かりやすく説明されている。

松尾芭蕉の俳句「古池やかわず飛込む水の音」は有名だが、この句の中国語訳が紹介されている。しかし、どれもこのわびさびの日本独特な世界が把握できていないと解説されている。

中国人がこの句が理解できようになるまで日中間の軋轢はなくなりそうでないというのだ。しかも、文化の違いから中国人はこの句を永久的に理解できないかもしれないと言うのだから話はややこしい。