ふいちゃんの中国日記

仕事編

賄賂の手口(輸出入業務代行業者編)

2007年5月20日

ある年の春先、サインを求めてわたしのところに通関担当者が輸出代行業者A社とB社の発票を持ってきた。どうして2社使っているのかと質問すると、じつは従来はA社だったが、上司の某課長の命令でB社へ変更したという。A社の伝票の処理が遅れて半年前の伝票は回ってきたために見つかったものである。

変更の理由はと尋ねると、
「何もありません。ただ、上司の某課長の命令でした」というのだ。それを聞いただけで「またか」といった感じである。あらゆるところでやっていたのだなあと、その徹底ぶりに驚く。

「で、A社とB社ではどちらがいいのだい。」
「A社がいいです。」
それで、比較表を作らせた。項目は企業規模、価格(手数料)、仕事の質、納期、サービス等々。点数評価すると総合評価はA社が勝っていた。ただひとつ劣っていた項目は価格で、ある価格だけが100元高かった。価格折衝してみなさいと指示して3日目に担当者から報告が入った。
「A社が100元下げることに同意しました。」

そうすると、全部の項目についてA社がB社より劣っているものはなく、総合評価も圧倒的にA社が上となった。そこで結論を出した。「A社へ戻すようすぐに手続きを開始しなさい。」と。

今後、正当な理由もなく取引先の変更は認めない。客観的に問題があって、会社の利益のために変更するのはいい。上司の一個人の利益のために会社を動かして不必要に担当者の労力を煩わらせるようなことはやってはいけないことだ。もし、そういう指示が上司から来たら、即刻わたしに報告するようにと念を押した。

【註】
発票 fapiao ファーピアオ 領収書、インボイス(送り状)