ふいちゃんの中国日記

仕事編

裏口入門

2005年11月29日

 10年ほど前に大連開発区ができたころの初期の段階で進出していた日系企業の日本人総経理と技術担当者が工場へやってきた。打合せが終って帰るとき職場のなかを通って裏口へ回ろうとするので奇妙に感じながらも表入り口から帰っていただいたことがある。また、ある金型屋の社長がやってくるとき、連絡があっていくといつも成形機のところにいる。また、別の金型屋の場合は知らないうちにやってきて成形トライをしている。成形品に問題があるという報告が品管から入ってきたので今後の方向付けについて打合せをしようと思っていたらいつのまにかいなくなっている。すうっとやって来てすうっと帰ってしまうのだ。表入り口から入ってくる客人は必ず事務所を経由しなければ職場に入れないのに、知らないうちに職場にいるので変に思っていたのだが原因がやっとつかめた。
 一番の原因は工場の入り口にある受付にあった。客人に場所を説明するとき受付の場所から見えている裏口があって、説明がめんどうくさい受付は「開いているあの入り口から入るように」と言っていたのだ。職場で仕事をしている従業員も一見して社外の人とわかる客人が変なところから入ってきても何も咎めることもなく、ただ客人がきたと連絡するのみだった。
 工場全体のしつけがこんな程度なのだとわかった。受付にも従業員にも、けっこう最先端の製品を生産しているなどの意識はなく、ましてや企業秘密意識などはほとんどない人々で構成されている実態がある。CDやテープなど海賊版が横行しているこの国では全ての技術、情報はただ同然で共有するものだということなのであろうか。
 さっそく、工場配置図を作り、入り口までの客人が通る道順を明確にして、これで説明するようにと受付へ渡した。その後、客人がまだないのでこの効果があるのかどうかいまのところはわからない。受付は面倒くさいのでやっぱり見えているあそこから入れという可能性はかなり強いのだ。様子をみて、裏口に「部外者立入り禁止」の立看板を置くことも考えなければならない。