ふいちゃんの中国日記

生活編/衣食住

菜刀

2005年12月17日

 賄いのおばさんは“塩分少な目”とか“油もできるだけ少なく”といったわたしの要求を聞き入れて晩御飯のおかずが中国風、というよりおばさんの家庭の塩辛くて脂ぎった味付けから、日本風のあっさりした味付けに徐々に変わってきた。それでもまだ煮物にも油がかなり入っている。要するに全ての料理に油を使う。だから、えびを塩味だけで煮るのにも油がはいっている。
 このおばさんから「菜刀」を買ってくださいと要求があった。わたしの台所には「西瓜刀」と刻印されている刃渡り240mm、高さ35mmの西瓜用の包丁があって、いつもそれで野菜を切っていて格別不便は感じなかったのであるが買うことにした。休みの日にわたしにスーパーマーケットで買っておいてくださいということだったが、どういうのがよいかわからなかったので、お金はわたしが払うからと言って結局おばさんに「菜刀」を買ってもらった。
 日本では見たこともない形状をしていて、刃渡り185mm、高さ85mmの大きな長方形の包丁である。もちろん、これに柄がついている。おばさんは月曜日から金曜日までで、土・日はわたしが作る。どんな使い勝手なのだろうと、さっそくこの菜刀を使ってみた。  
 すると、白菜やキャベツ、大根を切るのにこの菜刀は非常に使い勝手がよいことが理解できた。ナス、ネギ、肉もこちらのほうがはるかに切りやすい。包丁もある程度の重みがあるほうが使いやすいのだなと一人合点がいく。ひき肉も今のように機械で細切れするようになるまでは、この菜刀で細かく切ったのだという。とにかく、大き目の野菜類はこの菜刀が断然使い勝手がいいとわかった。かぼちゃも今までは途中で包丁が進まなくなり、苦労して切ったものだが、おそらくこの菜刀であれば簡単に切れそうだなと想像がつく。
 但し、この菜刀はニンニクの皮をむいたり、リンゴの皮をむいたりには大きすぎてまったく役に立たない。だから使い分けが必要。日本では一般にこの「菜刀」のような包丁は使われていないように思うがなぜなのだろう。同じ白菜、キャベツ、大根、ナス、ネギは日本でも、どの家庭でも食べられているというのに。

 【註】
   菜刀 caidao ツァイダオ (野菜用)包丁
   西瓜刀 xigua dao シーグアダオ (西瓜用)包丁