ふいちゃんの中国日記

仕事編

雑用

2008年1月27日

勤めている工場に、1年ほど前新しい通訳(女性)が入ってきた。だが、期待に反して彼女の日本語レベルは実用にはほど遠く、使えなかった。通訳にとって工場現場の通訳は一番むずかしいと言われている。

なぜなら、学校では100%学習することのない専門用語がやたらと出てくるからである。どんな優秀な人でも初めは専門用語を知らないので苦労するという。そして勤務会社を変える毎に専門用語が異なるので、また一から覚えなくてはならない。半年から1年すればこれらの専門用語も理解できるようになるのだが、この半年から1年を乗越えられない通訳は多いのである。

だから、通訳は工場勤務よりホテルや事務系さらにサービス業関係の仕事を探して移っていく例が多い。これらの仕事ももちろん専門用語はあるものの、工場通訳のように業種毎に専門用語が違って都度都度新規に覚えなくてもいいので楽なのだという。

元来、文科系の通訳が例えば樹脂成形の金型の構造や各金型部品の名前や機能などを理解するのは決してやさしいことではない。しかし、これらがある程度理解できていないと正しい通訳はできないのである。

数ヶ月後、事前に話しをしてこの通訳は事務の仕事に移ってもらった。管理部門の責任者は本人は納得承知ということであったが、実はそうではなかったことがわかった。数ヵ月後、本人が直接わたしのところに来て、目に涙をにじませながら訴える。

「今の仕事は私にとっては雑用です。私は雑用の仕事はしたくありません。従って私は会社を辞めます。」事務の仕事をしながらも翻訳や日本人との会話を通じて日本語の勉強ができる事務職だったのだが、彼女の決意を知ってわたしは彼女の辞職を認めた。

このくらいしっかりした気持ちがあれば努力次第でものになるであろう。彼女がいまどこでどういう仕事をしているかわからないが、彼女の通訳としての成長を願って止まない。