ふいちゃんの中国日記

仕事編

ほうれんそう

2005年12月23日

 ほうれんそうは中国では“菠菜(ボウツァイ)”というが、これは言わずと知れた報連相のことである。つまり報告・連絡・相談。日本の企業ではごく普通に聞かれる言葉だが、いい仕事のできる人は必ずこれがよくできている。
会社の壁に“ほうれんそう”と張り紙がされている。だから管理職の人は一度ならずこの言葉の説明を聞いているはず。わたしもなんどか機会をとらえて説明してきた。だが、知っているから実行できるかというと、それはまったく関係がない。もともと社会がそういう仕組みになっていないようだから、そういう環境下で育った人が知識として知っているからといって簡単には行動が伴わないのであろう。
 もうひとつ、自分の仕入れた情報は価値あるもので、他の人との差別化をはかるため、もっとわかりやすく言えば、自分の優位性を維持するため、簡単に人には教えられるものか、といった風潮である。ちょっとでも給料がよければ躊躇なく会社を移る割切った考えの人からみれば自分の優位性を確保しようとするのは自分の生活を豊かにすることに直結していて当然のことなのかも知れない。
 ともあれ、こんな標語が壁に貼られてあるということはその組織には“ほうれんそう”が不足しているということの証左でもある。不足しているということを認識している“層”があるということである。だが、当工場でもOJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)でそういうことを熱心に教育する“層”そのものが最近めっきり減ってきており、単なる標語になってしまっていて誰も見向きもしない。
 だが、教育というのは継続すると少しずつではあってもそれなりに効果が出てくるから嬉しくなる。“ほうれんそう”などという土台のないところへ“ほうれんそう”を植えつけるには土を耕したり、種をまいたり、草を取ったり、肥料をやったりと時間をかけてやっていかないとうまくいかないのだ。まだ、全く効果がない層もある一方、数人ではあるが頻繁に“ほうれんそう”が行われるようになった層もあって、その分仕事の効率がよくなっているのも事実。

【註】
菠菜 bocai ボウツァイ ほうれん草