ふいちゃんの中国日記

ふいの中国語講座

滾出来

2005年12月28日

 会社はわたしに日本のNHK衛星テレビが見られるように配慮してくれたが、中間の機器がまずいらしく、1週間くらいで全く映らなくなってしまった。したがって、このところ中国のテレビをみている。
 こちらもテレビ劇が盛んで、日本と違うのは毎日2時間半ほど放映して33日間連続とか41日間連続などというのがザラにある。時間が長い分、ストーリーが複雑でおもしろい。しかし、毎日毎日、長時間連続でみることはできないので何割かは見逃してしまう。開始時間はある程度きまっているが決して固定されているわけではなく、7時20分から始まったり、8時から始まったりする。またあるときは8時半に始まることもある。始まりはわかるのだが、終わりは日本のように“終り”とか“つづき“の文字が出てこないのでわかりにくい。いつのまにかニュースになっていたり、別の番組に変わっていたりして、「ああ、終ったのだ」とわかる。
 内容的には日本の時代劇に相当すると思われる清朝時代のものもけっこう頻繁に放映される。漫才に相当する“相声”もよくみかける。そのほか家庭もの、唄番組、やくざもの、バラエティ、クイズ番組、京劇、子供専用番組、事件ものといった内容である。ホームドラマや事件ものでよく出てくる場面が夫婦喧嘩や恋人間の喧嘩で、ものすごい形相で相手を批判したり、罵ったりして徹底的に相手をやっつける。そして最後に決まり文句のように出てくるのが“滾出来”。
 これは「出ていけ!」という意味で、これを言うのはいつも決まっていて女側である。男側がこういうセリフを言ったのはまだ見たことがない。そしてだんなや彼はシュンとしてさびしく出て行くことになる。出るのは部屋からの場合もあれば家からの場合もある。
 こういうのを何度もみていると中国の女はほんとに強いなと思う。小さいころから自己主張しないと生きていけない社会で育ったせいなのであろうか。訓練ができているのだ。“滾”という字は“転がる”とか“出ていけ”という意味で後者の場合は叱ったり、罵ったりするときに使われる。“滾出去”ともいう。こういう生活用語というのは中国語を勉強するときのテキストなどではなかなかお目にかかることがないので、非常に新鮮であると同時にものすごい迫力を感じる。さらに同じ用法に“滾滾滾”や“滾蛋”があって、これらもテレビドラマで頻出する。

 【註】
   相声 xiangsheng シアンション 漫才
   滾出来 gun chulai グーンチューライ 出て行け
   滾出去 gun chuqu グーンチューチイ 出て行け
   滾 gun グーン 転がる、出て行け
   滾滾滾 gungungun グーングーングーン 出て行け
   滾蛋 gundan グーンダン 出て行け、消えうせろ