ふいちゃんの中国日記

文化編/伝統・風習

目に入れても痛くない

2005年12月31日

 日本では孫のかわいらしさを表現するときによくこの言葉を使う。子(孫の親)は憎たらしいところもあるけど孫は目にいれても痛くないほどかわいいという。孫は通常、親が育てる。じいちゃんばあちゃんは可愛がるだけで、孫から“じいちゃんばあちゃん”と慕ってくれるから気楽である。
 中国では同じようで、かなり違う面があるらしい。“隔輩親”と言われている。“隔”は“隔てる”で同じ。“輩”は“世代”の意。“親”は“親しい”。世代を隔てた、つまりじいちゃんばあちゃんと孫の関係のほうが親と子の関係より親密という意味。一人っ子政策で、こどもは一人が標準。結婚しても、またこどもが生まれても働くのが普通である。では親が昼間働いているとき誰がこどもを育てるか、というとそれは幼稚園とじいちゃんばあちゃんと言うことになる。男女平等の国だから当然女も働くのが当たり前になっている。
 昼間働いて、夜、炊事子育てというのは大変疲れることだという。だから先に家へ戻ったほうが炊事をすることになっているようだ。とくにあかちゃんのときは夜もろくに眠れないので昼間の仕事は実際上無理なのだという。幼稚園は2歳半からだそうで、あかちゃんが小さいときは自分たちで育てなければならない。実際にはどうするかというと近くに住む親に預けっぱなしにする夫婦も多いらしい。ときどきは会うけど2年半ずうっとじいちゃんばあちゃんが育てるというのもけっこう多いことだという。そして幼稚園へ通える年齢になると親と一緒に住むようになるが、それでもまだじいちゃんばあちゃんが送り迎えし、3時半に幼稚園が終ってからどちらかの親が帰ってくるまでのお守りをしてくれる。親以上に大切に育てるのだという。
 日本の場合は可愛がるだけでよいが、中国の場合は実際に親代わりに育てる、というところが根本的に違っているようだ。ではそういうじいちゃんばあちゃんが身近にいない人はどうするのかと聞くと、自分たちで育てるしかないのでそれはとても苦労が多いのだという。

【註】
  隔輩親 gebeiqin ガーベイチン