ふいちゃんの中国日記

仕事編

跳歩模

2008年8月5日

金属部品は金型で打ち抜いて作ることが多い。複雑な曲げや絞りが入るといくつもの工程を経てすこしずつ形状を変えていく。一度に曲げすぎたり、絞りすぎたりすると亀裂が入るからである。

多いものでは10工程ある場合もあるし、さらに多いものもあるだろう。一つ一つの工程を単発プレス機で1回ずつ加工していくのに対して、一つの金型で順番に工程を流れ作業的に流していって仕上げるのが順送金型である。

「順送金型」は金属平板材の厚みによって影響されるが、早いものでは1分間に300回転、つまり300回の高速プレスを行う。これは1分間に完成品が300個できあがっていくことを意味している。

加工費は安くなるが金型費は高くなる。総合的に言って、数量が多いものは順送金型方式が原価は安くなる。しかし、順送金型は高度な技術で、それなりの経験が必要である。複雑な形状になると、日本では作れるが中国ではまだ金型が作れないという技術レベルの差がまだある。

しかし、物が移転すれば遅かれ早かれ技術の移転も時間の問題であろう。簡単な曲げや絞りの順送金型はすでに中国にもあるからである。中国ではこの方式の金型を「跳歩模」と呼ぶらしい。

というのはこれは専門用語で一般の辞典には載っていないからである。ただ、この業界に携わる中国の人々の間ではこれは「跳歩模」と呼ばれている。しかし、地域的には別の名前がついている可能性は否定できない。

【註】
跳歩模 tiao4 bu4 mo2 ティアオ ブー モオ 順送金型
跳 tiao4 跳ぶ、踊る。跳舞(tiao4 wu3 ティアオ ウーウ)はダンスする、踊る。
歩 bu4 歩み、ステップ
模 mo2 模具(mo2 ju4 モオジュー)は金型。「模」も同じ意味。恐らく専門用語。
一般の辞典には載っていない。
1型4個取りの場合、「1模4個」あるいは「1模4取」と呼ばれる。