ふいちゃんの中国日記

生活編/衣食住

楼長

2008年11月10日

日本の末端自治組織は「自治会」とか「組」とか呼ばれている。地域によってはさらに別の呼び方があるかもしれない。これらは都道府県・市・町・村とかの行政組織の下にあって、実際上、行政の末端組織を構成しており、日本においては重要な役割を担っている。市役所とかの連絡事項が回覧板の形で各家庭に連絡が浸透するようになっている。

どうやら、大連地区の末端行政組織は日本とかなり似ているように思う。わたしの住んでいるアパートは12階で、一つの入り口毎に番号がついていて、楼長(lou1 zhang3 ロウ ジャーン 楼長)がいる。これがどうやら最末端の行政組織のようである。

普段の付き合いはないが、エレベーターでときどき一緒になると話しをする。こうして同じ入り口の人々との浅いお付き合いが生じてくる。ある朝、通勤でエレベーターに乗って下へ降りていくときに、小学5年生の男の子を学校へ送る母親とさらにもう一人の女の人と一緒になったことがある。

外へ出てから男の子の母親がわたしに「她是楼長 ta1 shi4 lou1 zhang3 ター シー ロウ ジャーン 彼女が楼長です。」と説明してくれて初めてその人が「楼長」であることを知ったのだった。それはつい最近のことで3年以上もそういう存在も知らなかったし、当然その人が楼長であることも知らなかった。誰も説明してくれなかったからだ。

そういえばその「楼長」の日本語が話せる娘さんから、一度、名前と勤務先を聞かれたことを思い出す。きっと、わたしの名前と勤務先が末端行政組織の名簿に載っているのであろう。

ひょっとしたら、日本と同じように中国人たちの間では1年に1回とか定期的な会合が持たれている可能性もある。というのはエレベーターで一緒になる中国人たちはどの階の人たちもいかにも互いがよく知っているかのように挨拶をしたり、話しをしているからだ。これはどこかで互いが交流できる機会が持たれているということではないだろうか。

約半月前のこと、夜10時半ころに帰ってきてエレベーターに乗ったら、家族と思われる初めて見る4人連れの人達と一緒になった。話し言葉は韓国語である。中国語で挨拶しながら「初めてお目にかかるようですが、最近引越しして来られたのですか。」と聞いたら、かなりの年配と思われるちょび髭を生やした男の人が「もう2年以上になります。」と言う。
  
「じつは、わたしはここに来て3年以上になりますが、どうやら今夜が初めてお会いするようですね。」などと話しをしながら、わずか15秒くらいの短い交流は終った。